言語情報や顔の情報を人がどのように処理するかを,情報発信者自身の情報,および情報を発信する状況(とくに,どのようなメディアを使うか)を変えながら,具体的かつ体系的に調べています。
作り笑いや第一印象といった,現実世界のface-to-faceのコミュニケーションの中で顔から受けとる言語外の情報が,どのようなコミュニケーション上の意義を持っているかを,発信者の状況を変えることによって実験的に調べています。
作り笑いを受けとる状況では,笑いの発信者も受信者もリラックスしていませんが,自然な笑いを受けとる状況では,笑いの発信者はもちろんのこと,その笑いを受けとる相手もリラックスしています。笑いの受信者に,作り笑い,自然な笑いを受けとるときの感情状態,または中立的な感情状態になってもらい,その後で作り笑いと自然な笑いの自然さを判断してもらいます。笑いの発信者,受信者両方の感情状態を実験的に操作し,作り笑いのコミュニケーション上の性質を明らかにします。
初対面時の第一印象は,相手のその後の印象形成の重要な要因になりますが,第一印象がその後の印象と一致しないこともよくあります。初対面時に相手が無表情で,2回目に会ったときには笑顔であったとしましょう。このとき初めの無表情の印象が悪いほど,2回目に会ったときの笑顔に対する印象がかえって良くなることがあると思います。逆に,初対面時に相手が笑顔であったとき,初めの笑顔に対する印象が良いほど,2回目に会ったときの無表情に対する印象がかえって悪くなることもあるでしょう。こうした経験を我々はしばしばしています。こうした仮説を実験的に検証していくことで,顔の第一印象のコミュニケーション上の性質を考察します。
ツイッターやLINEのような短文を投稿するソーシャルメディアは発信者のまわりで起こっていることを時々刻々受信者に伝えます。受信者がその場にいなくても発信者の置かれた状況の臨場感や発信者の気持ちを伝えることができます。ツイッターの発話には,時間の限定性(今しかない)と場所の限定性(ここしかない)という二つの特徴があります。時間限定性,場所限定性のある発話とその理解がどのような特徴を有しているかを実験的に考察します。
フェイスブックやWebブログでは,新奇で特殊なオノマトペがよく使われます。情報科学の研究者と共同で,アメーバブログのような大きなブログから,プログラムを使ってそうした新奇なオノマトペを収集し,新しい使われ方にどのような規則性があるかを調べています。
プログラムを使って,Web上の比喩,オノマトペ,駄洒落を収集し,人が面白さ,理解しやすさを感じる理由を研究しています.こちらも情報科学の研究者と共同で進めています。